サクラマスってどんなさかな?

もとはヤマメ。日本に根差すサケの仲間。

サクラマス(Oncorhynchus masou masou, 英名masu salmon またcherry salmon)とは渓流に住むヤマメが大きくなった姿を表す呼び名です。川で生まれたヤマメのうち、一部の魚が銀色に変化し、海や湖に降り、大型化することでサクラマスとなります。サケの仲間なので、生まれた川に帰って産卵する習性があります。名前の由来は春に川を遡上するから、産卵期を迎えた魚の表面が桜色に染まるから、「サクラマス」と呼ばれるようになったとされています(諸説あり)。他のサケやマスと違い、日本周辺の海のみを回遊する特徴を持ち、生育する環境が限られています。

準絶滅危惧種に指定

現在サクラマスは環境省のカテゴリでは準絶滅危惧種(NT)に分類されています。環境の変化次第では絶滅危惧種となる恐れがあります。富山県の郷土料理である鱒ずしはサクラマスを使用してきましたが、現在は移入種のニジマスで代替されるなど、日本ではすでに貴重な資源となっています。

超希少。流通量0.3%の幻の高級魚

日本国内では”さかなばなれ”は進んでおり、水産生鮮品の購入額は年々減っていますが、サーモンの消費は落ち込んでおらず、人気を維持しています。世界でもサーモンの人気は高まっており、この30年で世界のサーモン類の生産量は約3.5倍に成長しています。そのようなサーモンの国内流通量のうち、サクラマスの流通量は0.3%しかなく、”幻の高級魚”と呼ばれています。

川に留まるか、旅にでるか。
ユニークな生活史をもつ

サクラマスは川で生まれてから約1年〜1年半経過すると、生活している川に留まるか、別の生活場所に移動するかを選択します。川に留まりそのまま川で産卵行動を行うサクラマスは河川残留型と呼ばれます。一般的には河川残留型であるサクラマスをヤマメと呼称することが多く、河川で十分なエサを食べることができた生存競争に勝った魚が河川に留まる傾向が強いと言われています。

一方で生活の場を海に移すサクラマスは降海型と呼ばれ、一部のサクラマスは海ではなく下流の湖に移動する降湖型と呼ばれます。サクラマスは河川で十分なエサを食べることができず、より豊富なエサを求めて移動すると言われています。しかし、海や湖ではエサも多いですが捕食者も多いため、より厳しい生存競争におかれることになり、厳しい競争で生き残ったサクラマスのみが大きくなり、生まれた川に帰ってきて子孫を残すことができます。

新しい環境に適応する準備”銀化(ぎんけ)”をして海へ

降海型のサクラマスは海に移動する前に、川にいるときから新たな環境で生きていく準備をします。川で生活しているときは体の側面に黒い楕円(パーマーク)が並ぶ模様がありますが、海に行く前には体の表面のほとんどは銀色の鱗で覆われ、体も川で生育していた時期よりも細長くスリムな体形になります。このような変化を学術的用語で銀化(ぎんけ)と呼び、銀化した魚は学術英語でsmolt(スモルト)と呼ばれます。銀化は体色の変化や体形の変化の他に、内面的な変化や行動にも変化が起こります。淡水から海水の環境へ適応できるようにエラでは高い塩分環境でも適応できるような細胞が作られます。また、自分の生まれた川に将来戻って来られるように、川のにおいをこの時期に記憶します。川で生活するヤマメは単独で泳ぎ、縄張りを主張する行動をとりますが、スモルトになると群れで行動をするようになります。これらの変化は体内のホルモンが活性化することで起き、ここで紹介したこと以外にも様々な劇的な変化が起きます。

一生に一回の産卵で次の世代を残す

サクラマスは他の多くのサケ類と同様に一生に一回の産卵行動を行って、その生涯を終えます。寿命は平均で2-3年で、寿命の最後の年の秋に産卵期を迎えます。産卵期が近づくとオスは顔が黒くなり、鼻が曲がり歯も鋭くなります。メスはお腹にたくさんの卵を抱え、ふくよかな体形になっていきます。オスは川底の砂利を尾びれを器用に使ってほり、産卵床をつくりそこにメスを迎え入れて次の世代をつくり、再び新しい命が始まります。

サクラマスを味わい、余すことなく食べつくす

FISH FARM SAKURAではサクラマスを自然豊かな環境の中で親から子へ、子から親へと大切に育てています。産卵した後のサクラマスの身や大きく育つことができなかったサクラマスも味はしっかりとしたおいしさを感じられます。そのような魚をご家庭でも手軽に食べられる商品を用意していますので、ぜひご賞味ください。

本桜鱒とは

サクラマスの生き方に寄り添い育む

一般的なサーモン及びサクラマスの養殖は淡水で生まれた魚をある一定の期間海水養殖した後に出荷、もしくは出荷まで淡水でのみ養殖の後に出荷することがほとんどです。一方、FISH FARM SAKURAの「本桜鱒」はサクラマスの生き様をリスペクトし、本来の生態・習性を損なわず、天然の習性と同じように淡水で生まれた稚魚を一定期間海水で育て、再び淡水で育成するという方法で育てられます。

幾代にも及ぶサラブレッドの系譜

FISH FARM SAKURAでは長年、サクラマスの家系に着目し育成を続けてきました。宮崎の温暖な気候の中で育つことができた親から稚魚が生まれ、その稚魚たちがさらに温暖な気候で育てられる。その他にも成長が速いことや丈夫に育つという特徴をもつ魚を選び、家系を作っています。私たちのサクラマスは親から子供がとれるまでに2年かかり、これまでに約10年かけて5世代つなぎ、累計で100万尾以上のサクラマスを継代、掛け合わせ、サラブレッドを作ってきました。今もサラブレッドをより厳選するために地道な研究を続けています。

自然な色味を活かす

サケやマスはもともとは白身の魚ですが、天然ではエビやカニなどの甲殻類を好んで食べるため、身もその卵であるイクラも真っ赤に染まります。通常、養殖の場合はあらかじめエサに赤い色素が含まれたものを与えることで、身が赤くなるようになっています。私たちがサクラマスに与えるエサには赤い色素は含まれていません。そのためサクラマスの身は真っ赤には染まらず、サクラマス本来の自然な桜色になります。また、イクラも赤い色素が体内に入らないため、本来の卵黄の色である美しい金色のまま収穫をすることができます。

本当の”旬”は夏

一般的に魚の旬は産卵期の前の季節と言われています。サクラマスの場合は秋が産卵期のため、その前の夏(6-8月)がもっとも美味しくなります。しかし、天然のサクラマスは春に接岸し、沿岸の定置網にかかったものが主に流通するため、旬の時期のサクラマスは滅多に味わうことはできません。私たちは卵のときから魚をずっと育てているため、旬の時期にサクラマスをご提供することが可能です。旬になったサクラマスは自分の力で身に脂をためるため、程よい脂乗りとしっとりとした食感で、サクラマス本来のおいしさを存分に味わうことができます。この時期のサクラマスはお刺身やお寿司、焼き物などの和食やフレンチなど様々なお召し上がり方をお楽しみいただけます。

サクラマス本来の味を楽しめるブランド”本桜鱒”

本桜鱒はサクラマスの最も美味しい時期の身の味わいや、金色に輝くいくらのつきみいくら®など、素材本来の味を堪能できるブランドです。FISH FARM SAKURAでは旬の時期に水揚げした”本桜鱒の冷燻製”やロングセラーの”つきみいくら”を自信をもってお届けします。こだわりが詰まった絶品の味わいをご賞味ください。

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